刑の執行
多くの王(ラージャ)はゾウによる踏み付け刑のためにゾウを飼っていた。踏み付けという目的のため、これらのゾウは特に体が大きく、時には重さ9トンを超すものもあった。こうした処刑は、人々に犯罪を犯さないよう警告するため、公開の場で行われた。また見せしめのため残酷になるよう意図されており、実際非常に残酷な結果になった。
また、処刑にかかる時間は長く引き伸ばされることがあった。例えば処刑の前に、ゾウの足に結んだロープなどに罪人を縛り、街の通りを引き回すこともあった。また、苦しみの時間を伸ばすために、処刑用によく訓練されたゾウを使うことによって、まずは手足を、次に胸を、というふうにゆっくり順番に踏み潰させることもあった。
なかにはこうした処刑を個人的な楽しみのために行う専制君主もいた。ムガル帝国の皇帝、ジャハーンギールはゾウによる踏み付け刑で頭を潰される様を見るために多くの罪人を用意させていた。18世紀、ムガル帝国と争ったマラータ族によるマラータ同盟もゾウによる踏み付けを行った。
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18世紀と19世紀を通して、南アジアのムスリム法廷は罪人に対し、ゾウによる踏み付け刑を宣告していた。しかし大英帝国の支配が強まるにつれ、ゾウによる踏み付け刑は衰退し行われないようになった。
ゾウによる死亡事故は今でも、アフリカや南アジアのゾウと人間が共存する地域では珍しくないが、これらは野生のゾウが人間を襲うもので、人間が殺人の目的で訓練されたゾウを使うということはない。
よく似た、しかし直接には関係のない言葉に「ゾウつぶし」というものがある。若い野生のゾウを体罰や嫌悪刺激による条件づけを用いて人間に慣れさせる方法を指し、主に東南アジアと南アジアで用いられるが、動物の倫理的扱いを求める人々の会をはじめとする動物愛護団体からは、「ゾウつぶし」は動物虐待に等しく、より人道的な訓練方法も十分可能であるとして批判されている。